共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
  
■『戦旗』1679号(5月20日)6面

  
 京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去へ
 関西での戦争体制づくり強化を許すな!

                       
 関西地方委員会





 京都府の最北端に位置する京丹後市の宇川地区に米軍のXバンドレーダー基地が建設されてから、一一年目を迎える。安保三文書の下、琉球弧の島々を最前線に全国で戦争体制づくりが加速するなか、京丹後での米軍基地強化の問題を含め、関西でも祝園(京都府南部)、舞鶴(京都府北部)、饗庭野(滋賀県)をはじめ各地で基地強化・戦争体制づくりが推し進められようとしている。それと対決する広範な共同闘争のさらなる前進をかちとっていかなくてはならない。米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会が呼びかけている6・1京丹後現地集会を成功させ、関西における反戦・反基地・反安保の共同闘争の前進に向けて共に闘おう。


強化される米軍Xバンドレーダー基地

 二〇二三年三月に基地内の隊舎建設の完了式典が行われた際、当時の在日米陸軍司令官は「経ヶ岬通信所は自由の刃の上にある。ここからキル・チェーンが始まる」と述べた。キル・チェーンとは、敵の攻撃の構造を破壊・切断することで自軍の防御と先制処置を行うという軍事上の概念である。その発言は東アジアにおける「ミサイル防衛」(MD)体制の一角を担うこの基地の重要性をあらためて明らかにした。さらに、二〇二三年一二月の日米韓三国によるレーダー情報の即時共有の開始によって、日米の戦争態勢の不可欠の一部を構成するこの基地の機能はいっそう強化されることになった。
 基地機能の強化と並行して、基地の監視体制も強まっている。基地内の監視カメラの増設が続くとともに、二〇二四年五月には米軍Xバンドレーダー基地と隣接する航空自衛隊経ヶ岬分屯基地の周辺、半径約一キロが土地利用規制法にもとづく「特別注視区域」に正式に指定されることになった。「情報・警戒施設」であるがゆえである。それらは、地元住民に加えて反基地運動を監視と抑圧の対象にするものであることは言を待たない。
 基地での日米両軍による合同軍事訓練も強化されている。昨年一〇月下旬から一一月初旬にかけて、日米共同統合演習キーン・ソード25の一環として行われた「日米共同基地警備訓練」には、約三三〇人の軍人が参加した。その数は、この一〇年間で最も多い。自衛隊側はこれまでも合同訓練に参加してきた空自経ヶ岬分屯基地と陸自福知山駐屯地の部隊に加えて、今津(滋賀県)、八尾(大阪府)、信太山(大阪府)、姫路(兵庫県)など関西の様々な地域の部隊が集結した。ヘリコプターや空砲の使用、ドローン迎撃や爆発物の処理訓練を含め、訓練内容もこれまで以上に強化されている。
 さらにこの時の合同軍事訓練では、地区内にある廃校となった中学校のグランドや体育館が自衛隊車両の駐車場や自衛隊員の宿泊場所として使用された。それは地域の軍事化を促進するものである。今年は九月に、米陸軍と陸自中部方面隊、さらにオーストラリア軍が参加する日米豪の実動演習が予定されており、その期間に京丹後での日米の合同軍事訓練が実施される可能性が高い。
 米軍Xバンドレーダー基地の存在は、東アジアの軍事緊張を日米の側から不断に高めている。基地強化、日米合同軍事訓練の拡大を許さず、基地撤去をめざす闘いのさらなる前進を切り拓いていかなくてはならない。


今も続く被害と米軍・防衛省の住民軽視

 米軍・防衛省は京丹後での基地建設問題が浮上した当時、地元住民に対して様々な「約束」をしてきたが、今日までそれは十分に守られていない。住民は今日でもさまざまな被害に直面し続けている。
 重大な問題のひとつは、騒音被害が続いていることである。レーダーの運転開始と同時に、それを動かすための発電機の駆動によって、基地周辺の住民に深刻な低周波騒音被害が発生した。レーダーは当然にも二四時間稼働しており、夜も眠れず、体調不良を訴える住民が続出した。その解決策として最終的に商用電力が導入されたが、米軍は「メンテナンス」などを理由に現在もしばしば発電機を動かしている。地元住民は発電機の夜間稼働の中止を求めているが、それはまったく無視されている。
 さらに、頻発する米軍関係者による交通事故とその公表のあり方をめぐる問題である。京丹後でも人身事故や酒気帯び運転事故を含む米軍関係者による交通事故が発生してきた。防衛省は当初、すべての事故を直ちに報告するとしてきたが、それは次第に守られなくなった。そうしたなかで二〇二二年、米軍属による人身事故を警察や防衛省が「物損事故」として報告するという深刻な問題が起こり、京丹後市も強く抗議する事態になった。この隠蔽問題を契機に、米軍関係者の交通事故の公表の在り方について一定の見直しがなされたが、いまだ不十分である。住民はすべての事故を直ちに明らかにすることを求めている。
 また、米軍人・軍属の集団居住をめぐる問題もある。防衛省は当初、米軍人・軍属は集団で居住し、バスや大型車などで集団で通勤すると説明してきた。その後、基地警備を担当する軍属は集合住宅に居住することになり、米軍人は基地内の隊舎の完成後、そこに移った。しかし、レーダーの運転・整備を行う技術者の軍属は、個々バラバラに市内のあちこちに居住し続けている。現行の日米地位協定では、京丹後市も誰がどこに居住しているか性格に把握できていない。
 加えて、米軍人の基地内の隊舎への入居による生活排水の増加によって、周辺海域の水質悪化が進むのではないかという懸念もある。
 米軍は、地域行事への参加、海岸清掃、英会話教室の開催などを通して、地元住民を懐柔しようとしている。いわゆる「良き隣人」政策である。防衛省は、米軍を支え、発電機の夜間稼働の中止をはじめ地元住民の要求を聞いた上で、結局は何もせずに聞き流すことで、軍事優先のあり方を推進している。
 基地建設から一〇年を経て、地元住民の不満と怒りは蓄積している。これまではしまい込んでいた米軍と防衛省の住民軽視の態度への公然とした批判も現われてきている。地元住民との結びつきをさらに深め、その立ち上がりをさらに大きく促進していくことも米軍Xバンドレーダー基地反対闘争の大きな課題のひとつである。


6・1京丹後現地闘争の成功を

 こうしたなかで、米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会はきたる六月一日に京丹後現地集会を開催する。全関西からの結集を呼びかけている。その呼びかけに応え、京丹後現地に集まり、集会の成功をともに勝ち取ろう。
 第一に、日米統合司令部の創設に向かう動きなどますます強化される日米軍事同盟と対決し、東アジアの軍事緊張を拡大する米軍Xバンドレーダー基地の撤去をめざす闘いとして、この京丹後現地集会の成功を勝ち取ることである。
 第二に、日米合同軍事訓練の強化など京丹後でも進む戦争体制づくりを許さない闘いとして、地元住民と結びつき、京丹後と全関西を結ぶ闘いとして一連の行動を組織していくこことである。
 第三に、この集会を、全国での戦争体制づくり、関西各地での戦争準備と対決する闘いの一環として取り組んでいくことである。京丹後での米軍Xバンドレーダー基地強化を含め、祝園、舞鶴、饗庭野をはじめ関西各地で基地強化・戦争体制づくりがおし進められようとしている。それと対決し、広範な共同闘争を前進させていく機会としてもこの日の集会が勝ち取られていかなくてはならない。
 第四に、沖縄・アジア民衆と連帯した行動として、この京丹後現地集会の成功を勝ち取っていくことである。辺野古新基地建設阻止闘争、琉球弧の島々の軍事要塞化に対する闘い、さらに韓国・ソソン里でのTHAAD撤去闘争をはじめアジア民衆の反戦・反基地闘争と連帯・結合した闘いとしての性格を鮮明にして、集会の成功を勝ち取っていくことだ。
 京丹後現地に結集し、ともに京丹後現地闘争の成功を勝ち取ろう!

 


Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.